くすやま歯科クリニック専門ページ 糖質の摂りすぎが歯周病を悪化させる?身体の慢性炎症と歯ぐきの関係

糖質の摂りすぎが歯周病を悪化させる?身体の慢性炎症と歯ぐきの関係

2026年11月04日その他

歯周病というと、「歯磨きが不十分だから起こる病気」というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。

もちろん、歯磨きによって歯垢(プラーク)を取り除くことは、歯周病予防・治療の基本です。

しかし、歯周病は単にお口の中だけの問題ではありません。

実は、私たちの身体が持つ免疫機能や炎症反応、そして毎日の食生活も深く関係しています。

今回は、特に現代人に多い「糖質の過剰摂取」と歯周病の関係について考えてみたいと思います。

歯周病は細菌だけで進行するわけではない

歯周病は、歯と歯ぐきの境目に形成される細菌の集合体(バイオフィルム)によって引き起こされる炎症性疾患です。

細菌が歯ぐきの周囲に定着すると、身体はそれを排除しようとして免疫反応を起こします。

このとき、細菌だけでなく、私たち自身の免疫反応によっても歯周組織が傷つけられてしまいます。

例えば、炎症に関係するTNF-α、IL-1β、IL-6といったサイトカインと呼ばれる物質が産生され、炎症反応を促進します。

この反応が長期間続くことで、歯を支えている歯槽骨などの組織が破壊されていくのです。

つまり、歯周病の進行には、細菌の存在だけでなく、それに対する身体側の炎症反応も大きく関わっています。

身体の慢性炎症と歯周病の関係

慢性炎症とは、身体の中で炎症反応が長期間にわたって続いている状態です。

急なケガや感染症による炎症とは異なり、はっきりとした症状がないまま、低いレベルの炎症が持続することもあります。

肥満、インスリン抵抗性、糖尿病などの代謝異常は、こうした慢性炎症と関係しています。

そして、歯周病も慢性炎症性疾患の一つです。

歯周病による炎症は、炎症性物質が血流に入ることなどを通じて全身に影響する可能性があります。

反対に、糖尿病や肥満などによって身体が炎症を起こしやすい状態になっていると、歯周組織の炎症も悪化しやすくなります。

このように、歯周病と全身の健康状態は、お互いに影響し合う関係にあると考えられています。

糖質の摂りすぎは、なぜ慢性炎症と関係するのか?

ここで注目したいのが、日常的な糖質の過剰摂取です。

糖質は身体を動かすための大切なエネルギー源です。糖質そのものが悪いわけではありません。

問題になるのは、必要以上に糖質を摂り続ける食生活です。

特に砂糖を多く含む飲料やお菓子などを日常的に摂取し、エネルギーの過剰摂取が続くと、肥満やインスリン抵抗性につながることがあります。

インスリン抵抗性とは、血糖値を下げる働きを持つインスリンが効きにくくなった状態です。

こうした代謝異常は、炎症性サイトカインの増加や酸化ストレスなどと関係し、身体を炎症が起こりやすい状態にする可能性があります。

また、血糖値が高い状態が長く続くと、AGEs(終末糖化産物)と呼ばれる物質が体内に蓄積しやすくなります。

AGEsは、身体の中にあるタンパク質などと糖が結びついてできる物質です。

このAGEsが細胞表面にあるRAGEという受容体に結合すると、NF-κBなどの炎症に関わる経路が活性化し、炎症性サイトカインの産生を促すことがあります。

こうした反応は歯周組織にも影響し、歯周病の炎症を強める要因になると考えられています。

糖質の過剰摂取は歯周病を悪化させるのか?

実際に、糖質の摂取量と歯周病の関係についても研究が行われています。

2022年に発表されたシステマティックレビューでは、遊離糖類(砂糖や加糖飲料などに含まれる糖)の摂取と歯周病の関係を調べた13研究のうち、11研究で糖類を多く含む食品や飲料の頻繁な摂取と、歯周病の有病率・発生率の高さとの関連が報告されました。

ただし、研究の多くは横断研究であり、糖質の摂取が歯周病を直接引き起こすと証明されたわけではありません。

また、2023年のJournal of Clinical Periodontologyに掲載されたシステマティックレビュー・メタ解析では、砂糖などの遊離糖類を制限することで、歯肉の炎症が改善する傾向が示されました。

対象となったのは9研究、209人です。研究数や参加者数が限られ、研究のバイアスも考慮する必要がありますが、食生活の改善が歯ぐきの健康にも関係する可能性を示す結果です。

つまり、歯周病の予防や改善を考える際には、歯磨きや歯科医院での専門的なクリーニングだけでなく、毎日の食生活にも目を向ける価値があるということです。

現代人が気をつけたい糖質の摂り方

では、私たちは普段どのような食品から糖質を摂りすぎているのでしょうか。

特に気をつけたいのは、次のような習慣です。

  • 清涼飲料水や甘い炭酸飲料を毎日飲む
  • 砂糖入りのコーヒーやカフェラテを何杯も飲む
  • 仕事の合間に菓子パンやクッキーを食べる
  • 食後に甘いお菓子やデザートを習慣的に食べる
  • 加糖ヨーグルトや甘い栄養飲料を頻繁に摂る
  • 果汁飲料やスポーツドリンクを水代わりに飲む

特に、飲み物から糖分を摂取する習慣には注意が必要です。

液体に含まれる糖分は、気づかないうちに摂取量が増えてしまうことがあります。

また、甘いものを一度に食べるだけでなく、少量ずつ何度も口にする習慣も、お口の健康という点では見直したいところです。

なお、果物やご飯などの食品に含まれる糖質まで一律に避ける必要はありません。食品の種類や栄養バランス、食べ方を含めて考えることが大切です。

歯を守ることは、食生活を見直すことから

歯周病の治療では、歯科医院での専門的なクリーニングや歯石除去、毎日の丁寧な歯磨きが基本となります。

しかし、それだけでなく、身体全体の健康状態を整えることも大切です。

糖質の摂取量を見直すこと、栄養バランスのよい食事を心がけること、適度に身体を動かすこと。

こうした日々の積み重ねが、歯ぐきの健康を守ることにもつながっていきます。

私たちは、歯科医院を単に歯を治療する場所ではなく、皆さんが一生自分の歯で食べ、健康的な生活を送るためのサポートをする場所にしたいと考えています。

お口の健康をきっかけに、毎日の食生活についても一緒に考えてみませんか?

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